Abidi 先生を群馬大学に迎えての弁


小林春夫
2007年6月22日

UCLA のAbidi 先生をお迎えして講演会を開催させていただきます。Abidi先生を群馬大学にお招きでき、非常にうれしく思いますし誇りにも思います。Abidi 先生はこの分野の方にはご紹介するまでもなく、アナログ集積回路分野で現在世界でもっとも活躍されている方です。群馬大に招聘できた経緯を私事も交えて恐縮なのですが説明させていただきます。

私がAbidi 先生と初めてお会いしたのはちょうど20年前の1987年の今ごろです。先週京都てVLSI Circuit Sympoosiumがございしたが、1987年は軽井沢で行われその際東京でお会いしました。UCLA の修士課程に合格通知をもらって9月に入学予定で、其の前に会いましょうということでした。高崎の日立製作所(現在ルネサステクノロジ社)の園田裕樹さんと私がAbidi研究室の最初の日本人学生になりました。当時はAbidi 先生は売り出し中で、今のように著名ではありませんでしたが、逆にそれゆえUCLA での修士課程の2年間、密接に指導を受けることができました。Abidi先生のグループから学会に次々とインパクトのある論文をだし続け、また産学連携を推進する姿を目の当たりにしました。当時は日本では産学連携はまったく行われていませんでした。Abidi 先生は自信家であると同時に謙虚さを持ち、才気あふれていると同時に大変な努力もされており、両面を兼ね備えているのが非常に印象に残っています。これらのことが昨日のことのように思い出されます。

しかしながら、一人前の人間なら偉大な師には頼らず自分でやっていこうという気持ちもございまして、少し疎遠になっていたのですが、今年の2月に久しぶりにUCLAを訪問してその気持ちも払拭し、今回Abidi先生を群馬大学にお招きいたしました。大げさな表現をすればAbiidi先生を群馬大学に招聘できるまで20年かかったと言え、本日は非常に嬉しく思います。

Abidi 先生のご経歴を紹介させていただきます。1976年にロンドンのインペリアル・カレッジで学士号を取得され、米国カルフォルニナ大学バークレーで修士号、博士号をそれぞれ1978年、1981年に取得されています。博士号を取得されたのは24歳のときとうかがっています。その後ベル研究所にご勤務され、UCLAに加わり現在教授であられます。AD変換器、アナログフィルタ等の幅広いアナログ回路の研究をおこなってこられ、とくにRF CMOS回路の研究で著名であり、最近はソフトウェア無線の送受信回路の研究に注力されておられます。著名な国際学会、学会誌の委員等を歴任され、受賞も多数です。本日は90nm CMOS を用いたAD変換器とタイムデジタイザ回路についてご講演していただきます。