講演会詳細


群馬大学アナログ集積回路研究会


題目: 「回路の理論1(枠組み)
〜回路とは部品(=枝)の接点(=節)に電流・電位の属性を付与したものだ〜」
講師: 源代裕治先生(ザインエレクトロニクス)
日時: 2021年10月19日(火)16:00-17:30
場所: インターネット配信。
聴講を希望される方はこちらにご入力ください。ZoomのURLが自動送信されます。【終了しました】
概要: 私は日々回路と格闘している現役の回路設計者です。小学生の頃から数えて、足掛け50年も回路と付き合っています。
担当する7回分の講義を最大限に活用させて頂き、私が長年考え、また経験してきた回路論を、後進達に紹介したいと思います。

回路も奥が深くて、50年経っても学び切りません。難しい内容は説明も難しいものですが、初歩な疑問、
たとえば『電流ってどのくらいの速さで流れるのですか』なども答えるのが難しいものです。
今回の講義は回路を既に一通り習った方に、別の視点から眺めると違った景色に見えるよ、という話になります。

大まかなストーリーとしては下記のように考えています。

手始めに、電気の歴史(回路の歴史)を眺め直します。歴史は偉大な先人たちの苦闘を偲ぶだけのものではなく、
我々が今立ち向かっている問題に対する知恵と勇気を得るものです。

その後で、私の現在の理解に基づいて回路理論を再構築します。出発点から異質なので、
じっくり説明します。まず、回路は部品接続であること、電圧と電流は回路を構成する配線と部品の属性であることを認識します。
その立場から、回路の公理であるKirchhoffの法則の定式化に若干の修正を加えます。
その上で、Ohmの法則やNortonの法則が、我々の回路論にしっくりと収まって来る様子を眺めて行きたいと思います。

回路の主役となるアクティブ素子は、講義の後半で登場します。
我々の回路論では、アクティブ素子は他所の電圧や電流で特性が決まる不思議な部品(他動素子)です。
歴史に登場するアクティブ素子には、真空管・バイポーラトランジスタ・MOSトランジスタなどがあります。
それぞれの素子に適した回路が多数工夫されてきましたが、多様性の観測を通じて、
それらが統一的に理解できる様子を鑑賞することを心がけて行きましょう。
現在主役のCMOS時代も、いつか終わりが来るかもしれませんが、回路の本質は変わりません。

もとより非正規カリキュラムなので、予定にはあまりとらわれないで、折々の話題で
気ままに寄り道をしましょう。興味がある回だけ聴講しようという人には申し訳
ありませんが、下記とは進捗が多少ずれてしまうかも知れません。ただ、全体を通じて
回路の話題を展開して行きますので、できるだけ通して聴講していただきたいと
思います。学生さんには、ほぼ出席点だけで成績を付けますが、毎回の簡単な
レポートと全体で一つのレポートをお願いするつもりです。
本講義では回路方程式は殆ど使いません。
式を解いて現象を理解することの重要性は強調しすぎることはありませんが、
式を使わない方が良く分かることを話します。
私にとって日々の設計は、回路と対話することです。
専門家になってからも対話が尽きるところがないのです。

今年度の講義ではLTSpiceというシミュレータを使います。
オープンソースの回路やデバイスモデルなども紹介して行きます。楽しんでください。

第1回 2021年10月5日(火)  回路の歴史1
〜 先人たちの苦労、今に残る混乱 〜

第2回 2021年10月12日(火)  回路の歴史2
〜 後を追う者も楽じゃない 〜

第3回 2021年10月19日(火)  回路の理論1 (枠組み)
〜回路とは部品(=枝)の接点(=節)に電流・電位の属性を付与したものだ 〜

第4回 2021年10月26日(火) 回路の理論2 (他動素子)
〜 他所の状態でIV特性が変わってくる素子たち 〜

第5回 2021年11月2日(火)   アクティブ素子1 (歴史的展望)
〜 真空管、バイポーラ、MOS 〜
〜 真空管時代は50年、ではCMOS時代は 〜

第6回 2021年11月9日(火)  アクティブ素子2 (動作点設定)
〜 動作点、ノードインピーダンス、ダイナミックレンジ 〜

第7回 2021年11月16日(火)  基本回路
〜 差動対+カレントミラー≒IC 〜


この講演は、群馬大学での講義を兼ねています。
資料はこちらに掲載される予定です。https://kobaweb.ei.st.gunma-u.ac.jp/lecture/lecture.html
「源代裕治先生」でページ内検索してください。




小林研究室のホームページに戻る
群馬大学アナログ集積回路研究会のホームページに戻る